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ピックアップ論文11月-12月

Penn, A.J.L., Deutsch, C., Payne, J.L., Sperling, E.A., n.d. Title : Temperature-dependent hypoxia explains biogeography and severity of end-Permian marine mass extinction. doi:10.1126/science.aat1327

+10℃程度と見積もられるペルム紀三畳紀境界時期の海水温の上昇が、生物絶滅の要因になりうるかどうかをモデル計算により再現したところ、現状の化石記録の半分程度は説明が説明できそうという論文。主要な海生生物の温度と酸素による耐性を数値にし、その生物が生存できるかどうかを作図し、その分布(各、緯度、深度)を化石記録(まだまだ散点的かな)と比較し、5割は説明がつくとしている。

Song, H., Wignall, P.B., Dunhill, A.M., 2018. Decoupled taxonomic and ecological recoveries from the Permo-Triassic extinction. Sci. Adv. 1–7. doi:10.1126/sciadv.aat5091
武漢地質大とリーズ大学との共同研究。Paleobiologyデータベースを用いて三畳紀の海生生物の化石多様性を分類した結果、大量絶滅後に前期三畳紀のネクトン生物が顕著に優位になることが明示された。この傾向については7−8年前から、化石産出のレビューから述べられていたが、データベースからより定量的に示したからスゴイということなのだろうか。今回のデータのまとめをみると、Carnian-pluvial event の絶滅規模は小さく見える。


Black, B.A., Neely, R.R., Lamarque, J.-F., Elkins-Tanton, L.T., Kiehl, J.T., Shields, C.A., Mills, M.J., Bardeen, C., 2018. Systemic swings in end-Permian climate from Siberian Traps carbon and sulfur outgassing. Nat. Geosci. 11, 949–954. doi:10.1038/s41561-018-0261-y
CESM1(Community Earth System Model)という3次元モデルに、シベリア玄武岩の噴出を想定したSO2,CO2ガスの放出を計算し、硫黄が成層圏(12-14km)まで到達した場合の寒冷化の効果(1.5〜3℃)、炭素ガスによる温暖化の効果(8〜10℃)を再現した。硫黄による効果は10-200年続けた放出後直ちになくなるが、炭素ガスによる効果は計算がなされた4500年間以上続いている。温暖化によって、長期的には溶存酸素の減少、降水量増加による風化物質の増加と言ったこれまで地質記録や地球化学指標で報告されてきた環境変化が現れる。短期的な硫黄ガスの効果は、その間に、海水の循環強化、陸乾燥域の増加時期を出現させる。
このような、短い時間ではあるが急速な環境条件の変化は、適応に時間を要する生物にとっては悪影響があったかもしれない。

Cui, Y., 2018. Climate swings in extinction. Nat. Geosci. 11, 889–890. doi:10.1038/s41561-018-0264-8
上記の論文の解説記事


Martindale, R.C., Foster, W.J., Velledits, F., 2019. The survival, recovery, and diversification of metazoan reef ecosystems following the end-Permian mass extinction event. Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol. 513, 100–115. doi:10.1016/J.PALAEO.2017.08.014


Li, M., Song, H., Algeo, T.J., Wignall, P.B., Dai, X., Woods, A.D., 2018. A dolomitization event at the oceanic chemocline during the Permian-Triassic transition. Geology. doi:10.1130/G45479.1


Fujisaki, W., Matsui, Y., Asanuma, H., Sawaki, Y., Suzuki, K., Maruyama, S., 2018. Global perturbations of carbon cycle during the Triassic – Jurassic transition recorded in the mid-Panthalassa. Earth Planet. Sci. Lett. 500, 105–116. doi:10.1016/j.epsl.2018.07.026

Fujisaki, W., Sawaki, Y., Matsui, Y., Yamamoto, S., Isozaki, Y., 2019. Redox condition and nitrogen cycle in the Permian deep mid-ocean : A possible contrast between Panthalassa and Tethys. Glob. Planet. Change 172, 179–199. doi:10.1016/j.gloplacha.2018.09.015


Li, M., Huang, C., Hinnov, L., Chen, W., Ogg, J., Tian, W., 2018. Astrochronology of the Anisian stage (Middle Triassic) at the Guandao reference section, South China. Earth Planet. Sci. Lett. 482, 591–606. doi:10.1016/j.epsl.2017.11.042

Xiao, Y., Wu, K., Tian, L., Benton, M.J., Du, Y., Yang, H., Tong, J., 2018. Framboidal pyrite evidence for persistent low oxygen levels in shallow-marine facies of the Nanpanjiang Basin during the Permian-Triassic transition. Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol.

Wang, X., Cawood, P.A., Zhao, H., Zhao, L., Grasby, S.E., Chen, Z.-Q., Wignall, P.B., Lv, Z., Han, C., 2018. Mercury anomalies across the end Permian mass extinction in South China from shallow and deep water depositional environments. Earth Planet. Sci. Lett. 496, 159–167. doi:10.1016/J.EPSL.2018.05.044

Lenton, T.M., Daines, S.J., Mills, B.J.W., 2018. COPSE reloaded: An improved model of biogeochemical cycling over Phanerozoic time. Earth-Science Rev. 178, 1–28. doi:10.1016/J.EARSCIREV.2017.12.004
Paytan, A., Mclaughlin, K., 2007. The Oceanic Phosphorus Cycle. doi:10.1021/cr0503613
リーズ大での研究集会に参加して、要チェックと思い、ダウンロード。リン循環の定量的循環システム、そのモデル化について

Huang, J., Hu, S., Zhang, Q., Donoghue, P.C.J., Benton, M.J., Zhou, C., Martínez-Pérez, C., Wen, W., Xie, T., Chen, Z.-Q., Luo, M., Yao, H., Zhang, K., 2018. Gondolelloid multielement conodont apparatus (Nicoraella) from the Middle Triassic of Yunnan Province, southwestern China. Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol. 1–14.
南中国の中期三畳系より、Nicorellaのコノドント器官がくっついたままClusterとして産した。Early Triassic にコノドント器官のElement数が減るor減らないの議論があったが、この属種はMiddle Triassic では15element が認定できるようだ。

Soft-tissue evidence for homeothermy and crypsis in a Jurassic ichthyosaur, Johan Lindgren et al., Nature
ジュラ紀のイクチオザウルス類の良質な標本から皮膚や、軟組織(insulating blubber 脂肪の袋)の痕跡がみつかったそう。最初、blubber とbladderを勘違いして読んでいた。。

Purnell, M.A., Donoghue, P.J.C., Gabbott, S.E., McNamara, M.E., Murdock, D.J.E., Sansom, R.S., 2018. Experimental analysis of soft-tissue fossilization: opening the black box. Palaeontology 61, 317–323. doi:10.1111/pala.12360
化石鉱脈Lagerstättenから有機物からなる化石生物の軟組織が何らかの無機物質に置換されて化石化することがあるが、そのような現象の現状の理解、化石化現象の再現実験のレビューをまとめた論文。

Zapalski, M.K., Clarkson, E.N.K., 2015. Enigmatic Fossils from the Lower Carboniferous Shrimp Bed, Granton, Scotland. PLoS One 10, e0144220. doi:10.1371/journal.pone.0144220
上の論文から脱線して眺めた論文。エジンバラの石炭系から産したコノドントの軟組織をはじめとした良質な海生生物の化石の記載が載っている。

Mcnamara, M.E., Van Dongen, B.E., Lockyer, N.P., Bull, I.D., Orr, P.J., 2016. FOSSILIZATION OF MELANOSOMES VIA SULFURIZATION as fossil melanosomes based on details of their arrangement, location, precise context. Palaeontology 59, 337–350. doi:10.1111/pala.12238
さらに、脱線。軟組織の化石部分の点分析をガスクロマトグラフで行う研究が進んでいる。色素の痕跡などが検出可能らしい。最近、始祖鳥の羽が黒かった等の論文もありましたね。

John, C.M., Khan, S.B., 2018. Mental health in the field. Nat. Geosci. 11, 618–620. doi:10.1038/s41561-018-0219-0
野外調査を計画すると直前はいつもそわそわしてしまうのだが、そんな過程で鍛えられるスキル、気をつけなければならないリスクについて述べられている。結局は、序盤に書いてあるとおり、できる限り入念に準備をすることにこしたことはないでしょう。

地球46億年 気候大変動 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来 (ブルーバックス) 新書、 横山 祐典
柏キャンパスの横山さんの著作、各地球史の重大イベントに焦点を当て、自分の経験や周囲の研究者(主に東大)に基づいて、物質循環等の解説を分かりやすく展開している。タイトルは”地球46億年”だけど、暗い太陽のパラドックス、スノーボールアースを解説した後、話は一気に白亜紀OAEまで飛ぶ。

フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体 (ブルーバックス)、藤岡 換太郎
序盤のフォッサマグナの語源の誤記は今後の版で修正する必要はあるだろうが、図を多用して日本列島の生い立ちや、日本における地質学の発展を支えた人物のレビューは、とても読み応えがある。学部時代、こういう解説はなかったと思うので(授業をまじめに受けていなかった?)とてもためになる。

須藤斎
やさしい言葉で、陸ー海環境の物質収支、微化石珪藻を中心とした生態系の応答を解説し、新生代の環境と生物の共進化について解説している。

Brief Answers to the Big Questions: the final book from Stephen Hawking
まだまだ読みかけ。つまみ食いしはじめた洋書のなかでは字が大きくて一文一文が短くてなんとかなりそうな予感。今年なくなったHawking博士の話を10のトピック(ブラックホールの中はどうなっているか? 人間は地球外に移住できるか?等)に分けて紹介されている。

by stakahashi17 | 2018-12-31 07:08 | 論文紹介