研究生活の備忘録です。http://satcy.ninja-web.net


by stakahashi17

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
論文紹介
研究状況
イベント
所感
未分類

以前の記事

2016年 09月
2016年 03月
2016年 02月
2015年 11月
2015年 09月
2015年 06月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 05月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 08月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2010年 11月
2010年 10月

フォロー中のブログ

Life is Beau...

メモ帳

最新のトラックバック

venuscozy.com
from venuscozy.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..

ライフログ

検索

その他のジャンル

ブログパーツ

最新の記事

三畳紀系の論文8-9月
at 2016-09-18 19:29
論文リスト_2016年_3月
at 2016-03-31 17:04
今年もよろしくお願い致します。
at 2016-02-06 16:30
ハイブリッドレインボウ
at 2015-11-04 19:04
東大生、三陸で琥珀掘る。
at 2015-09-10 16:57

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

科学

画像一覧

<   2012年 12月 ( 1 )   > この月の画像一覧

日本人が知っておくべきペルム紀三畳紀境界イベント論文@2012

8月から始まった出張シーズンも一段落しました。



 ずっとまとめようと思っていた新着論文を挙げておきます。名付けて、日本人が知っておくべき3大中生代古生代関連論文です。


1.前期三畳紀は温暖化と海洋無酸素事変が頻発していた。

Y. Sun, M.M. Joachimski, P.B. Wignall, C. Yan, Y. Chen, H. Jiang, et al., Lethally hot temperatures during the Early Triassic greenhouse., Science (New York, N.Y.). 338 (2012) 366–70.

 南中国ののペルム紀末ー中期三畳紀までの約700万年間の層序から得られたコノドントエレメントの特定属を選んで酸素同位体比を測定した研究成果.炭素同位体比の変動とシンクロした値の経時変化が検出された.この変化を海洋表層の水温変化に素直に読み替えると、ペルム紀末の大量絶滅事変時には海水温が40℃近くに上昇しており、その後の前回三畳紀の中頃Smithian/Spathian近傍では41℃に達する高温期が訪れる。この低緯度域の温暖化が当時の動植物が高緯度側に化石記録が残るが低緯度域にはみられなかった要因であるとしている。ただ、コノドントの生態が遊泳生物であったこと、炭素同位体比の変動に極端に類似していることから、特定水塊の温度指標としてこのデータを受け入れて居よいかどうか検証を続ける必要があると個人的には思う.



S.E. Grasby, B. Beauchamp, A. Embry, H. Sanei, Recurrent Early Triassic ocean anoxia, (2012).


 カナダ高緯度域のSiverup Basinに残るペルム紀ー中期三畳紀境界の研究成果、近年このセクションからは、カーボンセノスフェア(シベリア玄武岩活動に由来する煤?)や、硫化物の増加に一致する水銀の増加が報告されている.この論文では、硫化物の増加とモリブデンの増加から読み取れる無酸素海水の発達が、ペルム紀後期よりもむしろ前期三畳紀の間で頻発していることが報告されている.これを生物回復の遅れの要因とみなすわけだが、どのように海洋を無酸素化するか議論するところに当時の火山活動による、温暖化ガスの放出を最も可能性のある原因に挙げているが、尾崎くんのEPSLの論文を引用して、栄養塩の流入→一次生産の増加というプロセスも入った複合的な要因だったのではないかとまとめている. パンサラッサの前期三畳紀の無酸素化は深海相でも起きていたことを我々も挙げているが(Takahashi etal., 2009 Paleo3)、タイミング的には一致していそうである. 


2.火山活動の影響はやはり関係あり。

J. Shen, T.J. Algeo, L. Zhou, Q. Feng, J. Yu, B. Ellwood, Volcanic perturbations of the marine environment in South China preceding the latest Permian mass extinction and their biotic effects, (2012) 82–103.

 Eu異常などの元素組成で特徴付けられた火山灰層が、中国の複数のペルム紀末の層準から炭素同位体比の負異常時期に一致して産していることを報告した論文. この火山灰層は、南中国地塊付近の火山活動ではなく、シベリア玄武岩の活動に一致しているのではないかとしている.


U. Brand, R. Posenato, R. Came, H. Affek, L. Angiolini, K. Azmy, et al., The end‐Permian mass extinction: A rapid volcanic CO2 and CH4‐climatic catastrophe, Chemical Geology. 322-323 (2012) 121–144.

  中国と,イタリアのペルム紀三畳紀境界層の分析結果(微量元素分析,炭素酸素同位体比,ストロンチウム同位体比)をもとに、温室効果ガスの放出による当時の温度変化を考察している.報告によれば、火山活動は大量絶滅の1000ー2000年前に起き、二酸化炭素の濃度は1400ppmから3000ppmに増加し、海水温が39℃に達したとしている.また、この温暖化のトレンドの間に短い間の温度減少の時期があり、火山活動が生じた際に発生したエアロゾルによる寒冷化によるものではないかとしている.


3.日本発の研究成果も続々と。

H. Sano, T. Wada, H. Naraoka, Late Permian to Early Triassic environmental changes in the Panthalassic Ocean : Record from the seamount-associated deep-marine siliceous rocks , central Japan, Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology. 363-364 (2012) 1–10.
 
 西南日本,舟伏山ユニットから新たに見出されたペルム紀/三畳紀境界層の炭素同位体比変動曲線を報告した論文.2010年に報告した安家森セクション−2の炭素同位体比変動とほぼ一致している.これで、日本の深海相の同時代の層序から南中国の模式相と炭素同位体比で対比がつくセクションが3つ(安家森,兎原,舟伏)となり、有機炭素でも(-2万年毎くらいの平均程度のオーダーでは)同位体比層序対比が可能なことを指示するものと個人的には納得している. なお、論文中では炭素同位体比の減少理由に大規模火山活動によって生じた有機物炭素の放出(同位体比的に軽い)を挙げ、舟伏山セクションからは黒色粘土岩に共在する黒色な珪質層からわずかながらに放散虫化石が産することを根拠に生物の回復が遠洋域では早くに訪れたのではないかと考察している.


T. Onoue, H. Sato, T. Nakamura, T. Noguchi, Y. Hidaka, N. Shirai, Deep-sea record of impact apparently unrelated to mass extinction in the Late Triassic, (2012).



 犬山地域の後期三畳紀の赤色チャートからなるセクションから、北アメリカ大陸で起きたマニコーガンクレーターの隕石衝突に由来する飛散物質(スフェリュール,Niスピネル,Ir,Osの増加)を発見したという論文.放散虫の化石産出レンジチャートを参照すると遠洋域では明確な絶滅事件が起きておらず、直径100Kmのクレーターを形成するような衝突ではグローバルな大量絶滅を起こさず、衝突が起きた近傍のみに影響がとどまったと考えられる.
[PR]
by stakahashi17 | 2012-12-02 13:16 | 論文紹介