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Carbon Isotope Makeover


ホームページにも載せましたが、堆積岩中に残る炭素の安定同位体比(13C /12C)は、地質時代を通して変動してきました。ときおり重い値、軽い値をとり、正異常・負異常と呼び地質時代のイベントを認識する特徴としても用いられてきました。炭素を貯蔵する主な要素は炭酸塩岩と有機炭素があります。有機炭素は光合成の課程で約25パーミル軽い炭素同位体分別をするので、有機炭素がどの程度埋没するかによって、軽い炭素をとられた大気ー海洋の無機炭素の同位体比が変動し、海水から沈積する炭酸塩の同位体比が決定していると考えられてきました。

 このような有機物の埋没のフラックスの変化によって説明されてきた炭酸塩岩の安定炭素同位体比の変動ですが、地質時代には原生代後期(Neoproterozoic)の5パーミル以上の重い炭素同位対比やマイナス15パーミルに及ぶ低い値など、大気海洋の酸素濃度が現在ほど十分になかった時代に炭素の同位体比が変動しており光合成によって産する有機物や有機物の嫌気的分解から生ずるメタン(マイナス40パーミルに達する軽い分別をする)の寄与では充分に説明ができない事象が報告されてきました。2月のScience誌に報告されたSchrag et al.の記事によれば、このような炭素の同位体比の変動を、有機炭素の埋没効果以外に、有機物の分解物やメタンからもたらされる炭素を含んで形成された自生炭酸塩を考慮にいれれば説明がつくというモデルを提唱しました。このような自生炭酸塩(Calcite, dolomite, siderite..)は、還元的な環境でアルカリ度が高まり、飽和した炭酸塩が堆積物表面あるいは間隙に生じ、現在の大陸棚縁辺の海底でもみられ、実際に軽い値をとるものもあるようです。現在の炭素循環にこの炭酸塩があまり量的に寄与しないのは現在の表層環境には酸素が多分で、大気-海洋中の同位対比を変えるくらいの大量な自生炭酸塩を海洋に生成できないことが主な要因であるとしています。つまり、大気海洋の酸素濃度の進化の過渡期であった原生代や深刻な貧酸素環境に陥った古生代中生代境界時期などには、有機物の埋没+自生炭酸塩の生成とそれらの分解放出が当時の炭素循環に大きな影響を与えていた可能性があるのです。

 Canfield&Kumpによる同誌の紹介記事では、今後、自生炭酸塩を実際に多量に生成するメカニズムや、炭素同位体比の正以上時期に地質記録から同位体比が軽い自生炭酸塩がみつかるかどうかの課題を経てこのモデルが成熟していくことを期待するとしています。

 これまでの私たちのグループの中でも、有機物埋没フラックスの挙動がよく分からない状態で炭素同位体比の増減をどう説明するか議論がなされていました。Schragらのアイディアは、地質時代の炭素循環モデルの理解を助ける大きなヒントになるかもしれません。

e0208576_5193286.jpg

From Canfield and Kump, Carbon Isotope Makeover Science 339

Schrag, D. P., Higgins, J. a., Macdonald, F. a., & Johnston, D. T. (2013). Authigenic Carbonate and the History of the Global Carbon Cycle. Science, 339(6119), 540–543. doi:10.1126/science.1229578

Canfield, D. E., & Kump, L. R. (2013). Carbon Cycle Makeover. Science, 339(6119), 533–534. doi:10.1126/science.1231981
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by stakahashi17 | 2013-02-10 05:20 | 論文紹介