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大量絶滅発生直後の海洋には窒素同化生物が増加していた

Luo, G., Y. Wang, T. J. Algeo, L. R. Kump, X. Bai, H. Yang, L. Yao, and S. Xie (2011), Enhanced nitrogen fixation in the immediate aftermath of the latest Permian marine mass extinction, Geology.

 約2億5千200万年前、ペルム紀末 の大量絶滅後、数百万年間造礁生物の化石記録が途絶え、その代わりに、浅海域では微生物から由来した炭酸塩岩が残されていることが明らかになっています。これらの堆積物中の有機物の分子化石や同位体記録からも、大量絶滅後の緑色硫黄細菌やシアノバクテリアなどの寄与量が増加したことが示されてきました。
 Luo らの研究グループはは、南中国に残る微生物マット石灰岩(Microbialite)を含む二つのペルム紀三畳紀境界層セクション(Taiping、Zuodeng)より、堆積物中に残るバルクの有機炭素と窒素同位体比を測定しました。この2つの海生層セクションは、microbialiteに岩相が移り変わるペルム紀末の大量絶滅層準において、有機炭素同位体比の減少とともに3パーミル窒素同位体比が減少することを示しました。このデータは、過去に研究されたこれらのセクションよりも浅い海域に位置していたと考えられる中国メイシャンセクションの傾向とも一致します。これらの低い窒素同位体比の値は、微生物窒素同化の寄与量が増加したことを示します。そして、窒素同化(脱窒やアンモニウム酸化)の増加の背景には循環の停滞した無酸素海洋の発達が考えられます。また、彼らは、窒素サイクルの変動は窒素酸化物(NO2)の放出をもたらし、温暖化の進行に寄与した可能性があると述べています。N2Oの温暖化に寄与する影響はCO2の〜1000倍だそうです。また、従来、軽い窒素同位対比をもたらした窒素同化生物としてシアノバクテリアがあげられてきましたが、今回の研究セクションでは、シアノバクテリア由来の分子化石の増加は見いだされなかったそうです。また、無機炭素同位体比と有機炭素同位体比との差がメイシャンセクションほど減少せず(メイシャンで検出された減少量よりも3-4パーミルほどの差が小さい)、重い炭素同位体比をもたらす緑色硫黄細菌などの一次生産者が浅いメイシャンの海域よりも研究セクションが記録するより深い(陸から離れた)海域では多くなかったことが考えられます。したがって、窒素と炭素の同位体比の記録から、大量絶滅直後の微生物の生態系変化は、浅海ー深海で異なっていたと考えられるそうです。

この時代の研究でも温室効果ガスにCO2以外の気体の寄与が考えられるようになってきました。おそらく、現在も過去も温室効果をもたらした気体は1種類ではないはずです。
また、今回の研究のように、今後、大量絶滅事前後の各海域毎の環境変化の差異が明らかになってくれば、当時の気候モデリングの精度も上がり、大量絶滅の背景になった環境変動の要因の理解が進むと思われます。私が取り組んでいる、ペルム紀-三畳紀の深海記録の研究成果にご期待下さい。
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by stakahashi17 | 2011-06-20 07:14 | 論文紹介